Filling in the H in CHI at CS547

CS547 HUMAN-COMPUTER INTERACTION SEMINARは毎週金曜日にゲイツビルで行われているセミナー形式の授業です。WebにもOpen to the publicと書いてある通り、誰でも聴講することができ、講演はきちんと録画されYoutubeで公開されています(公開は学期が終ってから行われるようです)。

コンピュータと人とのインタフェースにまつわる要素技術からアプリケーション、認知科学や社会科学の話まで、スタンフォード内外からゲストが招かれて講演を行っています。

今期は6月でリタイヤするTerry Winogradの講演「Filling in the H in CHI」もありました。


まずはWinogradの話を聞きにきたお友達のみなさん(と言ってもエドワード・ファイゲンバウムとかですが…)と「これ知ってるよね!?」と掛け合いをしながら、CHIの歴史をざっと振り返り、その歴史は「What is a Human?」の歴史であるというお話をされました。
A human is …
 a physical body : Human Factors
 a language understander : (AI)
 a information processor : Psychology
 a worker in an organization : Management, Business
 a social being : Sociology, Anthropology
 a resource of meaning :
CHIの歴史を捉えるこの視点は眼から鱗でした。

SHRDLUという自然言語を処理する人工知能の研究で一躍名を馳せたWinogrardは一転して「コンピュータと認知を理解する―人工知能の限界と新しい設計理念」書き上げ、そしてソフトウェアの世界に”デザイン”をもっと取入れるべきだと考え、ソフトウェア・デザインに関る様々な分野の人達のエッセイやインタビューをまとめた「ソフトウェアの達人たち―認知科学からのアプローチ」(その意図は原題”Bringing Design to Software (ACM Press)“の方が伝わると思います)を出版しました。
そしてラリー・ペイジがGoogleを生み出すきっかけとなったプロジェクトであるStanford Digital Libraries ProjectやThe Stanford Interactive Workspaces Projectを率いました。CHIの研究を通じて新たに見えて来た人間のさまざまな側面を研究してみるとまた新たな側面が見えて来てまた研究する、というサイクルの流れを歴史と共に俯瞰することができました。

そして最後のa resource of meaningが、いまd.schoolでやられているような観察(Observation)と共感(Empathy)から始まるデザインプロセス、Human Centerded Designと合流するのだという話がありました。ソフトウェア・デザインやHuman Centered DesignとT型人材を育成するプログラムであるd.school(Winogrardはd.schoolの発起人の1人でもあります)の関係は僕自身もこれまでうまく説明できなかったのですが、この話でその関係をうまく説明ができそうです。
講演の後で持参していた「コンピュータと認知を理解する」にサインをしてもらったのですが、今日の話でHCIとd.schoolの関係が良く分かりました!と伝えたら、そうだろうそうだろうと何度も頷きながらサインをしてもらえました。

Human Computer Interaction:HCIの研究分野はComputer-Human Interaction:CHIと言うときもあり、この分野で最大規模の国際会議もACM CHIです。この分野ではHumanへの関心とComputerへの関心のバランスが研究者によって違いがあると思いますが、サブタイトルでその順番「SEMINAR ON PEOPLE, COMPUTERS, AND DESIGN」となっていること、講演のタイトルが「Filling in the H in CHI」とあることからもWinogrardは「Human」への関心が実は高いのだなぁと思いました。

ComputerというVehicleにのってHumanにまつわるJourneyを続ける。そんな研究者に僕自身もなりたいと改めて思いました。

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