EXPRESSIVE MOVEMENT IN ARCHITECTURE AND DESIGN

7月15-19日にUC Berkeleyで行われたEXPRESSIVE MOVEMENT IN ARCHITECTURE AND DESIGNというワークショップに参加してきました.DESIGN FRONTIERS WORKSHOP SERIESという4週間に渡って開催される4つのワークショップの1つめです(2つめも参加したので,それについては別エントリーで).講師をつとめるWendy JuはStanfordのdesignX Labの同僚でもあります.

Exercise 1: Defining the Space
初日はまずこのワークショップのお題に関連して参加者7人それぞれがオモシロいと思っている関連した事例などをGoogle+のページに書き込んで紹介し,お互いの関心事を共有しました.その後グループに分かれてキャンパスをフィールドワークしました.

Exercise 2: Exploring the Fantastic(Campus of Berkeley)
Wendyから出されたお題: You will be going on an imaginary scouting expedition for places:1)To put a large display, 2)That would make a good improvisational stage for showcasing people’s expressive movements,3)To build in physical movement of otherwise inanimate spaces)を頭の隅に置きながらキャンパスを2人の女性と一緒に歩き,歩きながらディスカッションをして3つのアイデアを出しました.1人ずつ1つのアイデアをプレゼンするよう作業を分担し,2日目の午前中にそのプレゼンしました.最終的にはグループで発表したアイデアとは別のアイデアを各自でプロトタイプしましたが,歩いている時に3人それぞれが一番面白がっていたことがアイデアの元になっていました.

ぶらぶらと歩いている最中に,自分の中にある興味と自分の外にある何かと組み合わさってアイデアが出ることが多々あります.街に出て人々を観察をしたり初めての場所へ出かけることは,そうした化学反応のような組み合わせを生み出すための良い方法です.デザイン思考で観察に出かけたりやアイデアキャンプで街に出かけることは,最初は何かみつかるかなぁ…と不安だったりするものですが,何かしら発想のきっかけを与えてくれるものです.

Exercise 3: Wizard of Oz
2日目の午後にはdesignX LabのDavidがビデオプロトタイピングの紹介をしてくれました.新しいHuman Computer Interactionをデザインする時にWizard of Oz(オズの魔法使い)と呼ばれる方法を使うことがあります.
これはコンピュータを使ったシステムを作る時に人がどういう反応するか?を探る時に,コンピュータが行う(べき/だろう)処理を人間が代わりに処理をしてテストをする方法です.ビデオプロトタイピングはWizard of Ozを使ってシステムを動かした様子をビデオを使って撮影し,それに対して人々からの反応を調べる方法です.
ProcessingやArduinoを使ったプロトタイピングの手法もさっと紹介されましたが,参加者のプログラミングスキルの幅が大きい場合には,モノ+(魔法使いのように)それらを操作する糸や棒とビデオを組み合わせる方法も紹介しておくのは,ワークショップの進め方として良い方法だと思います.

その後は各自が自分のアイデアをプロトタイプしていきました.キャンパス内のゴミ箱にいろいろな形のものがあること,ゴミ箱が集まっている様子が鳥の群れのように見えたこと,が自分の関心を惹きました.Wendyのお題の2)と3)を組み合わせて,ゴミ箱ロボットを群れとして動かし,それらとキャンパス内の人々がインタラクションする様子をプロトタイプしました.

ちょうどこの数カ月,自分が開発しているプロトタイピングツールCityCompilerの中に実機のAPIと同じAPIで動く仮想のARDroneやArduinoベースの車輪ロボットを作っていたので,CityCompilerを使って群ロボットのシミュレーションをしました.
CityCompilerの良いところして,ネット上で公開されているProcessingのさまざまなサンプルとSketchUpで作られ3Dギャラリーで公開されている3Dモデルをそのまま使えることです.プログラミングしたのは実質的には3日ぐらいでしたが,動きのパターンやゴミ箱の形を何通りかスタディすることが出来ました.その過程はこちらのスライドで.

ゴミ箱ロボットの形状を幾つか検討している内に,角柱もしくは円柱であれば良いのだと思い,円柱形のディスプレイにProcessingを表示するMobility Deviceとしてロボットを作りました.これはWendyが設定したExcersice2の2)と3)の要素に加えて1)も統合してみよう,と思ったのです.
Workshopをデザインする時には参加者の発想の取っ掛かりとなるような制約を設けます.主催側もWorkshopの流れやそうした制約を色々と考えているものなので,あえてその流れにきちんと乗っかってみることで,自分の思考のバイアス:偏りから逃れることができます.それはサッカーで例えると,自分1人でドリブルで切り込むのではなく,味方とパスを交換し続けながらゴールに迫るようなものかもしれません.

最終日の午後2時からミニパーティー形式で参加者全員が作ったプロトタイプの発表を行いました.実物+糸+Arduinoでのデモ,模型+遠近法をうまく使って敷地で動かしているように見せたビデオ,など,さまざまな進め方のプロトタイピングがありました.
自分が進めたシミュレーションとしてのプロトタイピングは,スピードが早く複数のバリエーションの比較も簡単にできるメリットがある一方で,他の人からは今何を進めているのかが見えづらくある程度出来上がった時でないとアイデアを足してもらったりコメントをもらいにくいというデメリットがあります.
他の参加者と同じ部屋でプロトタイピングをしていましたが,他の参加者に助けを求めることで新しいアイデアを引き出した人もいたりして,最後の発表会でもそうした違いを感じました.

参加者どうしのインタラクションを含めプロトタイピングの場をどうデザインするか?
ワークショップの主催者ではなく参加者としてするのは久しぶりでしたが,そうした問題を改めて考える良い機会になりました.

Many thanks to Wendy and all guys in the workshop!

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