FaceShadowingにおいて、練習者が将来行うであろう動作を手本の動作から自動生成したことが、このフューチャロイドという概念を作り出す契機になりました。FaceShadowingがFuturoid#1だとすれば、Futuroid#2とも言えるのがこのTracePlayerというシステムです。
フューチャロイドの研究においては「身体的なスキルの向上」や「身体的な健康の増進」を目的に「ユーザが求める将来像へと自身を近づけてゆくためのシステム」を開発します。その概念をスポーツに適用したのがこのシステムです。子供は憧れのプレイヤーの真似をしながら遊んだり、その遊びの延長としてスポーツのトレーニングをすることがあるでしょう。空間にどのような情報を提示したり、どのような媒体でその憧れの選手の動きを表現すれば、子供たちはより良く真似ができるでしょうか?
その問いへの答えとして、スポーツにおける上級者の身体動作を学習者に伝える新しい方法を構築すべく、舞踊の記譜法を用いて身体動作を床面に表記し、それを学習者自身が再生しさらに他者が再生する様子を学習者が観察できるシステムを構築しています。
記譜法として舞踊におけるラバノーテーションを、そしてそれを再生する他者として移動ロボットを用いることを提案し、その基礎的な検討としてカラーセンサを用いたライントレーサの試作を繰り返しています。移動の軌跡とリズムの変化を表すカラーテープを最小限のノーテーションと考え、ライントレーサが白線の上を移動し青・赤のテープにより加速・減速をすることで、サッカーやバスケットボールにおけるドリブルのような身体的なリズムを伴う身体技能の伝達と獲得のための物理的なメディアとして機能すると考えています。