ワークショップ「空間をプログラミングしよう!」開催のお知らせ

映像とサウンドなど複合的な要素を組み合わせたクリエイティブ・コーディングは、デジタルサイネージやプロジェクションマッピング、メディアアートなど、パソコンの画面を越え実空間へと広がりを見せています。

3Dの仮想空間の中でProcessingが動作する様子をシミュレーションできるCityCompilerを使って、自分のコードとアイデアを空間に広げてみませんか?

統合開発環境EclipseがインストールされたノートPCを持参していただき、講師と一緒に空間をプログラミングしてみましょう!

開催概要
講師:
中西 泰人 @nakanaka
田所 淳 @tadokoro http://yoppa.org
橋本 直 @kougaku http://kougaku-navi.net

参加料:無料
定員 :15名/日(24日と25日は同じ内容のワークショップを行います)
日程 :11月24日(土曜)/11月25日(日曜)
時間 :10時30分〜17時30分
 10時00分 – 10時30分 受付
 10時30分 – 11時00分 サンプルの説明
 11時00分 – 12時00分 サンプルの改造・テスト
 12時00分 – 13時00分 昼食
 13時00分 – 13時30分 ブレインストーミング
 13時30分 – 17時00分 クリエイティブ・コーディング
 17時00分 – 17時30分 発表+シェア
場所 :東京都中央区日本橋本町4-5-14 本町ビル1F A室
 前の通りが昭和通り(高速道路)とぶつかる所には交番があります。
 前の通りが中央通りと交差する所には岩手銀行とドラッグストアがあります。
 ビルの向かいにはコイン駐車場Timesがあります。
 ビルの1Fの通りに面した部屋です。

申し込み
こちらのatndからお願いします!
1日目:11月24日(土)http://atnd.org/event/E0010531
2日目:11月25日(日)http://atnd.org/event/E0010532

以下、田所さんのBlogの引用です。
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活動近況、CityCompilerでプロトタイピング!!

CityCompilerはjMonkey engineというJavaベースのゲームエンジンをベースにした開発環境で、仮想空間に物体を簡単に配置することができ、さらにそこに仮想のディスプレイやカメラ、プロジェクター、仮想のセンサーなどを配置していくことが可能となっています。さらに嬉しいのは、Javaベースの開発環境なので、仮想のディスプレイやプロジェクターにProcessingでつくったスケッチを簡単に組みこめます。このことで、実際に空間に配置しながらプログラムを修正したり配置を調整したりといった作業が簡単にできるわけです。

これをつかってどんなことができるかというと、例えば個人ではとても無理なような巨大な規模のシミュレーション。CityCompilerではGoogleスケッチアップなどで作成した3Dモデルを.obj形式に変換することでシーンに配置可能なので、有名建築にプロジェクションマッピングすることが可能。

CityCompiler_test.mov from Atsushi Tadokoro on Vimeo.

さらには、大量の物体もプログラムでくりかえし複製して、メモリや処理速度が追い付く限り、いくらでも配置できます。たとえば広大な地表にディスプレイを大量に配置するインスタレーションのシミュレーションなど。

CityCompiler multi monitor sketch from Atsushi Tadokoro on Vimeo.

jMonkey Engineのアニメーション機能をつかって、物体を動かすことも可能。例えばディスプレイ自体を大量に生成して動かしたり。

CityCompiler kinetic monitor sketch from Atsushi Tadokoro on Vimeo.

さらには、物体を動かしたところにプロジェクションをしたり。

CityCompiler kinetic projection sketch from Atsushi Tadokoro on Vimeo.

プロジェクションの際には、影の形状なども細かくシミュレーションしている様子がよくわかります。さらには、仮想の距離センサーを配置することも可能。鑑賞者との距離によって変化するオブジェクトの実験。

CityCompiler distance sensor sketch from Atsushi Tadokoro on Vimeo.

実際にいろいろ試してみると、とても楽しい環境です。今後はこの環境を活用したワークショップなども企画中。乞うご期待!!

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空間へ広がるクリエィテブ・コーディングは、世界のさまざまな場所で実験的な試みがなされています。このワークショップは、場所やコスト(時間とお金)の制約を受けずに思いついたものをとりあえずたくさん作ってみる、そんな時間にしたいと思っています。


ART+COM : Grasp Pendulum


3M GTG Meta Twist Tower at Munich Airport.
3M GTG xSlider

開催協力:クロスコ CROSSCO Co.,Ltd.

分人の管理・追加そして仮想化

さまざまな情報通信技術が発達すると共に,情報のやりとりは非同期化・ネットワーク化・分散化され,それと共に「人間も非同期化・ネットワーク化・分散化」したと言えるでしょう.分人という概念は,そうした現状をよりうまく説明できるモデルになり得ます.さらに
「『分人』をうまく管理するにはどうすれば良いか?」
「『分人』を人が新しく作りだす時はどうするのか/どうしたら良いのか?」
平野さんと「記憶の告白」という作品を作ったりDAWNのインスタレーション化したりする中で,そうした関心を持つようにもなりました.

私とは何か,という問いの答えのイメージが,りんごやみかんという「個」という数え方が適したモノではなく,ぶどうの「房:枝+n粒」のように,違う数え方やイメージをうまく考えつくことができれば,『分人』をより積極的にマネージメントできるようになるでしょう.まだぼんやりとした関心ですが,そんな関心から色々なお面を買ったりしています.

情報通信技術の発達が人間のあり方・見方に影響を及すとすれば,もう一つの方向性は「仮想化」です.アニメの主人公や初音ミクのコスプレ,自宅警備員のみなさん等も,仮想化の違ったあり方でしょう.また別の仮想化のあり方があるだろう,お面をかぶりながら,そんなことを少し考えています.

私とは何か、新たな人間とは何か

いつもお世話になっている平野啓一郎さんから送っていただいた新著
 私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書) 
を読ませていただきました(遅くてスミマセン…).

メディアアート作品「記憶の告白 – reflexive reading」の共同制作の過程でやりとりした会話やメールが,この本の内容にも少し貢献できているように思えて,少し嬉しいです.

地球上の生物の中で,環境を作り替えまた人工的な環境を作り出す生物は人間だけですが,人間は自分達が作り出した社会的環境+物理的環境との相互作用を繰り返す中で,また新しい人間へと変化していくものです.

そうした中で人間はさまざまな悩みを抱えて生きてきました.そして常に「人間とは何か?」という問いを立て,様々な人々が様々なアプローチで答えを出そうと努力をしてきました.

平野さんの新著にあわせてこの三冊を読むとそうした流れを俯瞰できるに違いありません.

他人の顔 (新潮文庫)

じぶん・この不思議な存在 (講談社現代新書「ジュネス」)

ロボットとは何か――人の心を映す鏡 (講談社現代新書)

都市,マスメディア,インターネット,そしてロボット.
「人間が作り出した新しい環境の中でうまれる『新たな人間とは何か』」という問いに答えようとする,小説家,哲学者,研究者/工学者たちの共通点と相違点.けっこう面白いと思います.

何か対談とかシンポジウムの企画出してといわれたら,平野さん+鷲田さん+石黒さん,と今なら即答することでしょう.そして特別ゲストにはぜひデーモン閣下を(笑