d.schoolとT型人材


いま所属しているdesignXプロジェクトの定例ミーティングでは、所属メンバーだけでなくゲストが来られてディスカッションのお題を持ってくることがあります。今週のミーティングではthe American Association for the Advancement of Science (AAAS)のReiko Yajimaさんが来られ、デザインシンキングと科学的な研究の共通点と相違点についてディスカッションが行われました。

工学者に限らず科学者も専門のサイロ化から逃れることで新しい視点を得られますが、それがデザイン思考がヒントになるのか?ということでした。デザインシンキングでは人々を観察することがプロジェクトのスタートになりますが、科学においても自然現象を観察する眼を養うことが必要なことは共通しているように思いました。

「ワークショップ楽しそう」「カッコ良い場所でわーってブレストしてカッコ良い」みたくd.schoolについて誤解されているかもしれません。このミーティングでdesignXプロジェクトを率いるLarry Leiferが言っていことは「デザインシンキングはI型人材がT型人材に学生が進化するミッシングリングを埋めるものなんだ」ということでした(専門知識しかない人材がI型人材で専門知識に加えて広い知識を持つT型人材と良く言います)。

その2日後に人工知能とHCIの研究で著名なTerry Winogradのトークがありました。Winogradはd.schoolの中の人でもあり、Computer Scienceの授業の中で行われたトークのスライドにもまさにT型人材の話が出てきました。
誰も解決したことのない問題に対してデザインシンキングを通じてアイデアを出し、専門家として深堀りされた知識によるロジカルシンキングで検証をする。正解のない問題にチームでアタックすることで自分の知識を横に伸ばす機会なのですね。

創造性と遊び

久しぶりにTim BrownのTEDにおける講演「Tales of creativity and play(創造性と遊び)」を見ました。

冒頭で紹介されているBob(Robert) McKim先生はStanford大学のd.schoolの源流となっている機械工学科のプロダクトデザインプログラムをスタートさせた先生です。
関連情報はアイデアキャンプのブログ「Robert McKimによるVisual Thinking」「Robert McKimのレリーフ@Stanford」でも)

創造性を発揮しながら一緒に働く人は友達もしくは友達になれそうな人とTim Brownが言っていますが、それは感覚的にも良く分かる気がします。d.schoolでもスタンフォードのデザインプログラムの授業においても、チームワークをとても重要なスキルとして捉えています。仕事をする仲間とサッカーやフットサルをしてみると、仕事ぶりとプレースタイルがほとんど同じでなので、一緒にプレーしたことがある人とは仕事がしやすいものです。

設計やデザインを教えることはなかなか難しいものですが、聴講しているME101:Visual Thinkingでは「Design is Team Sports!!」だと先生方が言っています。課題を通じた経験と訓練が重視されているのは、設計とデザインはスポーツと同じで身体化された知だからだと思います。

その後にこちらの記事「サッカーを遊ぶ南米、サッカーを遊ばない日本(前編)」をたまたま読んだのですが、少し関連があるように思いました。設計やデザインはあんまり教え過ぎないのが良いかもしれません…。

DESIGN FRONTIERS WORKSHOP SERIES

UC BerkleyのCal Design Labでサマープログラムとして「DESIGN FRONTIERS WORKSHOP SERIES」が開催されます。College of Environmental Design(日本で言うと建築学科+土木工学科ですね)が主催のワークショップだけあって、テクノロジーを取り込んだ新たな空間のデザインを実践する場となっています

4つのワークショップが週替わりで開かれます。
・EXPRESSIVE MOVEMENT IN ARCHITECTURE AND DESIGN, JULY 15-19, 2013
・ROBOTIC PROTOTYPES IN ARCHITECTURE, JULY 22-26, 2013
・FRONTIERS IN DESKTOP FABRICATION, JULY 29 – AUGUST 2, 2013
・GESTURAL AND NATURAL USER INTERFACES, AUGUST 5-9, 2013
どれも面白そうですね。

僕もどれか1つ参加しようと思っています。