これからAIやロボットが道具としてだけでなく他者や他種として私たちの環境を構成しようとする中で、新しい道具と新しい環境が人類をどのように変化させどのような身体性とどのような知性を引き出すのか。こうした問題意識を下に、「スマートシティとキノコとブッダ」と名付けたプロジェクトとして、様々な分野の方々との対話をnoteに公開してきました。
そしてこの対話をベースにした書籍を出版社BNNさんから出版することができました。
中西泰人, 本江正茂, 石川初 スマートシティとキノコとブッダ 人間中心「ではない」デザインの思考法 ビー・エヌ・エヌ (2024/9/19)
書籍化にあたっては、思考のビークルとしてのさまざまな方々との対話が、私達をどのような場所へ導いてくれたのか?を改めて考えたいと思いました。
書籍は、
・理論編 人間中心「ではない」デザインの思考法 についての論説
・対話編 公開済みの8つの対話+建築家・津川恵理さんとの対話を追加
・実例編 無分別智が発揮されていると著者らが考えているデザインの実例
・練習編 無分別智を身につけるための練習課題
・まとめ
という構成になっています。書籍化にあたって理論編、津川さんとの対話、実例編、練習編を追加し、公開済みの対話の2倍ほどのボリュームになりました。
AIやロボットと付き合う中で、人間は人間にしかない創造性を発揮すべきだ、と様々な方が言われています。そうした中でも私達は、具体的にはどのような創造性を発揮すべきなのか?その創造性を身に付けるにはどうすれば良いのか?という問いに対して、ひとつの答えを示したいと考えました。
私達の答えは、東洋/日本的な知のあり方である「無分別智」を身につけ、
・今ここ、 目の前にあるモノやコトの価値を新たに見出し(発見的)
・その価値を別のところへ結びつけ、 さらなる価値を生み出す(開眼的)
という「人間中心ではない」創造のあり方を発揮するというものでした。
その問いに答えるにあたりヒントをくれたのはやはり「キノコ」と「ブッダ」でした。ぜひ書籍を手にとり、新しい縁起の一つにして頂ければ幸いです。