慶應義塾大学環境情報学部に属する中西泰人研究室です。
当研究室ではインタラクティブな情報システムについて研究しており、研究領域はInteraction Design, Experience Design, Programming Experience, Design Experience, Pervasive/Ubiquitous/Urban Computingです。
情報は人々を内包する環境の大きな要素となりました。
ここでの要素としての情報は、紙やディスプレイといった媒体に書く/書かれたデジタル・アナログな形式知だけではなく、友達やネットの向こうの他者、周囲の物理的な物や空間が語りかけてくるデジタル・アナログな暗黙知もあわせて対象としています。そのため、紙、スマホ、手・顔、モノ、PC、ディスプレイ、身体、部屋、ビル、都市、地球、インターネットなどを組み合わせた新しい環境としての情報システムとその設計開発方法を研究しています。その際の設計ポリシーとしては、
- コンピュータはデザインの要素のひとつ
- 空間的な経験・環境を統合的にデザインしたい
- 美しさ・ユーモア・楽しさは忘れずに
を挙げています。
これらの研究を通じて Intelligence Amplification x Information Architecture=知能増幅のためのアーキテクチャ:人と道具と環境との構造と特性 を明らかにしたいと考えています。環境知能や分散認知といった視点から人とモノ・人と人・人と環境との相互作用に注目して、こうした道具や環境の組み合わさり方を考える時のキーワードが
「時空間デザイン」「マルチスケールデザイン」
です。
「時空間デザイン」
実空間の中で動作するようなインタラクティブなシステムは、動き・空間・時間・外観・感触・音などから構成されています。その中の「時間」と「空間」をテーマとし、
“システムをでデザインする事で時間と空間の使い方がどう変わるか”
“時間と空間をデザインする事でシステムの使い方がどう変わるか”
“使い方をデザインする事でシステムや時間・空間がどう変わるか”
という事に注目しながらシステムのデザインを行っています。
「マルチスケールメディア」
現在様々なメディアが存在しますが、この中には手・身体・建物・都市・地球やさらにはスケールレスなど様々なスケールに複数にまたがって機能しているものがあります。例えばiPhoneは手のひらにありながらwebに繋がる事でスケールレスでもあります。
このようなシステムを具体的に設計・実装・設置していきながら、マルチスケールに渡る情報システムを発想・設計・配置する方法論などにについても研究を行っています。
有形/無形・アナログ/デジタルな複数のスケールにまたがるシステムを作るには、リアルと仮想をつなぐ要素技術が必要です。モノや人の位置や動き、カメラや映像出力、ロボットに特にフォーカスしています。機械工学は機構力学・材料力学・熱力学・流体力学を融合して新たな機械を設計生産するための融合的な分野であり、そしてメカトロニクスは機械工学(Mechanics)と電子工学(Electronics)を融合させたもの、ロボティクスはさらに情報工学、人間工学、心理学などをさらに融合させたものです。中でも情報工学はこの20年間で急速に人間を内包する環境として広く普及し、スマートオフィスやスマートスペースなど建築学や都市工学をも融合させたシステムを構築できるようになりました。システム工学は、多くの学問分野を有機的に融合して成立させるための知のあり方です。
このように当研究室が研究対象としているシステムはさまざまな分野を融合させることが必要ですが、このサイトの“united field”というドメイン名は「さまざまな要素がひとつのシステムとして統合された場」を意味するものです。